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『幕末維新を動かした8人の外国人』

昨日書いたコメントの話で、依頼が来たのは7冊。
『料理通異聞』(松井今朝子)、『幕末維新を動かした8人の外国人』(小島英記)
『明治維新という過ち』(原田伊織)、『開国への布石―評伝・老中首座阿部正弘』(土居良三)
『「大正」を読み直す』(子安宣邦)、『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』(加藤陽子)
『日清・日露戦争をどう見るか―近代日本と朝鮮半島・中国』 (原朗)
何冊か没った。笑

『料理通異聞』は八百善の話です。まあ面白かった。
『戦争まで』はまあ…いいかな…
読み応えのある本だけれど、個人的には加藤陽子氏があまり好きではない。
そして以前よりの疑問なのだが、何故この人は松岡洋右に甘いのだろう。
好きなんだろうなとは、思うけど。

***


幕末維新を動かした8人の外国人


著者は小島直記かと思っていたのだけれど、小島記やったっちゅう。
題の通り幕末維新を8人の外国人を中心にして見たもので、今迄ありそうで中々無かった類の本かと思います。

出てくるのはペリー(米)、プチャーチン(露)、ハリス(米)、オールコック(英)、ロッシュ(仏)、パークス(英)、サトウ(英)、グラバー(英)。
細かい所はいいのだけれど、読んでいて関心したのはどの国も出先の人間の軽挙妄動を戒めていた点。
幕府と薩長どちらに肩入れするでもなく、双方と一定の距離を置いて影響力を行使しないよう戒められているし(内政不干渉)、結構慎重。

四ヶ国連合艦隊による下関攻撃も同様。
イギリス本国は日本との戦争になる事を懸念して、駐日公使オールコックが下関を攻撃する旨を連絡してきた返信として、武力行使をするなと否認していた(ただ当時は訓示を送るにしても船便なので、オールコックの手元に到着したのは攻撃後)。


下関、関門海峡 関門海峡


どこの国も望むのは安定して通商出来る相手(国体)であって、彼らからすれば幕府でも諸大名でもどちらでも良かったのだと思う。


外交官としての立場を見失い、幕府に肩入れしたのが仏国駐日公使のロッシュ。
公使館のスタッフも殆どおらず(専属通訳すらいなかったらしい)、情勢分析に感情を交え過ぎで、日本におけるフランス外交が破綻していく様がよく描かれていました。
そして土壇場で徳川慶喜に裏切られるというなんという皮肉。
慶喜の掌返しはもはや全方位ですなあ…


フランスと対称的であったのがオールコックの後任パークスとサトウ。
イギリスはスタッフに恵まれていて、その代表が日本語ペラペラのアーネスト・サトウ。
薩長土の有力者と直接日本語で言葉(情報)を交わす事ができるというのは、パークスにとっても何事にも代えがたかったと思う。
イギリスは情報収集能力とその分析が的確で、ここが日本におけるフランスとの大きな違いで、読んでいて面白かったです。


維新前夜の英仏はどちらかというと本国の意を受けてのどちらかへの肩入れという印象が強かったのですが、出先のスタンドプレーの割合が結構高かったのだなと。
特にロッシュとサトウ。
サトウは公使館の通訳官という職分からしてもかなり立場を逸脱している。
西郷隆盛に向かって「薩摩立つべき」とか、恐ろしいわ…
日本人からすればサトウはイギリスの意だと思われる所もあっただろうし。
あんたの本国内政不干渉の方針やで。

あと感心したのは、外国人にいいように振り回されているようで、日本人も結構利用していたんだなと。お互い様。

こう見ると幕末の攘夷は外国の植民地化を恐れてという話だったけれど、何となく不思議な感じはしますねえ。
幾ら内政不干渉だと言われてもな…

隣国清国のアヘン戦争以降の状況を日本人は見ている訳ですし。
やってきた外国人(の本国)がどう考えていたとしても、武力を背景にして傲岸に日本人を怒鳴りつけて萎縮させたり、砲艦外交したりすれば、そんなの日本人からすりゃ外国の侵略に他ならなかっただろうなと思う。
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