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明治・大正・昭和初期の軍人・政治家の話が多め
特に海軍と広瀬武夫、偶に江戸時代中後期/幕末

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きらきら

週末、3連休だったのですが走りに行ってパン焼いて、遊びに行って走りに行って、パン焼いたら休み終わってた。あれ?
残ったのは腕の筋肉痛だけという。

キラキラネームの大研究』という本を先日読了したのですが、これが結構面白かったです。
現在のキラキラネームに特段興味がある訳ではない。
名前の問題は、別に今に始まった話ではなく昔からあるよねという内容で、要するに歴史の話が大半だったので。
内容は…
うん、まあ大体知ってたわーという。笑

平安時代の昔から「今どきの若者は」と言われてきたのと同じく、兼好法師の昔から名前にこんな漢字を使うなんて…みたいなことは言われてきている。
『徒然草』には知ったばかりの言葉を知ったかぶりしてやたらと口に出すのは浅はかなる人のする事なりだとか、今とあまり変わらないようなことも書かれていて、千年経っても人間って変らない所は変らないんですねえ。
問題としてはそれぐらい昔から認識はされていた。

キラキラネームでへえと思ったのは江戸時代にも難読漢字名ブームがあったこと。
今でいう名付けのマニュアル本もあり、本居宣長が苦言を呈していたそうです。
その本居先生の門下生にも難読名の人がいて、本居先生でも漢字の横に振り仮名を打っていたという…
確かに「稽古」と書いて「とほふる」とは読めないわ。
人間の名前とも思えないし。


近代では真っ先に上がるのが森鴎外の子供で於菟、茉莉、杏奴、不律、類。
最近のキラキラネーム批判で元祖DQNネームなどといった、かなり不名誉な紹介をされているのをまま見掛けます。

留学先のドイツで本名の林太郎が発音されにくかったという経験を踏まえて、日本でも外国でも通じる名前として付けたということでよく知られている。
全然キラキラでもDQNでもないと思うのだけどなあ…
言わずもがなですが左からオットー、マリー、アンヌ、フリッツ、ルイという西洋人名を模しています。

名前だけで見たらえーと思うのは与謝野鉄幹・晶子夫妻の子供のアウギュストとエレンヌ(純日本人)。
あと武林夢想庵の娘のイヴォンヌ(純日本人)。
ちなみにアウギュストは夫妻と親交のあったオーギュスト・ロダンからで、政治家与謝野馨の伯父になる。


こうした西洋名ばかりが当時のキラキラネームだったのかと思えば、戦前でも首を捻ってしまうような名前があったそうです。

六花、十九、捨鍋、日露英仏

…人間の、名前…?^^;

どう見ても、ろっか(りっか)、じゅうく、すてなべ、にちろえいふつ、なんですが。
ろっかって『まっすぐにいこう』にそんな名前の犬いたよね。笑

読みは左から、ゆき、とみちか、すてなべ、ひろえ、だそうですん。
ちなみに全部女子の名前である。女子の名前である。
著者も書いていたけれど、六花は今に通じる読みだと思いますが(六角の雪の結晶)。
しかし捨て鍋って。

読んでいて一番感心したのは鴎外の長男、於菟に関してはオットーという言葉の響きに目を向けがちだけれど、実はこの漢字表記にはきちんとした典拠があるという話でした。

『春秋左氏伝』に「楚の宰相子文の諱を穀於菟という」という一節があるそうです。
楚では”穀”は”乳をやること”、”於菟”は”虎”。
即ち”穀於菟”は「虎に育てられた」という意味で、戦前は寅年生まれの男女に「於菟」と名付けることがあったそうです。
例として遠藤於菟の名前が挙がっていたけれど、確かにそうだわ。
そういう人いたわ。


ダブルネーミングで於菟=オットーとしたのは鴎外ならでは。
だが、「於菟」という表記自体は、鴎外の独創ではなく、当時の知識人が共有していた漢籍の教養を背景にしたものだったのだ。
その重厚さと比べてしまうと、音の響きもかわいいし、願いを込めて「心」「愛」という字を両方使いたかったので、「心愛」と書いて「ここあ」にしました、などというキラキラネームの名づけは、あっけないほどカルイと言わざるを得ない。

どちらも一見、同じような「変わった名前」に見える。
しかし、表記に用いられる”質量”は、というと、これがもう雲泥の差である。

明治期の日本語社会の少なくとも中核においては、「於菟」の例にあるように、使う人も読む人も、ともに漢字の向こう側に厚みのある漢籍の知識を見ていたのだ。  (『キラキラネームの大研究』)

明治期の日本人と今の日本人、悲しいほど断然していますな…
軽い気持ちで手に取った本でしたが、ななめ読みした割には考えさせられる所が結構ありました。
お時間のある方、ぜひどうぞ。
面白いと思う。
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Comments

post
2016-02-03 23:15 
ジゴロウ #393
面白い本を紹介してくださり、ありがとうございます。読んでみます。

そういえば、東大総長の山川健次郎の兄、浩も、養子に、戈登(ゴルドン)て付けてましたね。

こちらは、憧れてたイギリスの将軍の名前からなんですが、戈登=武によって高みに立つ、という字面はともかく、音訓とかでいう何読みかがわかりませぬ。
2016-02-04 07:28  >ジゴロウさん
ヒジハラ #394
ゴルドンでしたね!そうでした!
難読どころじゃないですよね。笑

しかし当て字で何と読むのか分からない、寧ろ難読名カモンの風潮、本当に昔からのようでちょっと笑ってしまいました。
この本結構面白かったのでお時間がありましたら是非。

そう言えば山川健次郎の日記が発見されていましたね。
もし未確認でしたらこちらからどうぞ。西日本新聞(1/27)です。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/culture/article/220887
2016-02-05 02:37 
ジゴロウ #395
ありがとうございます。
早速読んできました。

それにしても、子孫の方々が、あちこちにいて、驚きます。
2016-02-05 07:19  >ジゴロウさん
ヒジハラ #396
全国各地ですもんね。笑
探し当てて訪問するだけでもたいへんですよねーー;
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