Para Bellum

明治・大正・昭和初期の軍人・政治家の話が多め
特に海軍と広瀬武夫、偶に江戸時代中後期/幕末

鬼退治

鬼退治で思い出したんだけど、桃とか関係ない有名人がいたなと思って。
戦前では知っていて当然のおとぎ話であった「大江山の鬼退治」、その鬼退治の大将であったのが源頼光になります。


頼光はマイラブ源義家の大叔父にあたる人物で、主筋は藤原道長。
娘婿が藤原道綱(『蜻蛉日記』の著者の旦那)で、気が合う者同士だったらしく晩年は一緒に住んでいた。
現在の一条戻り橋付近に家があり、家の向いに住んでいたのが陰陽師の安倍晴明になります。

一条戻り橋、いろんな話があります。
見えるとか、見えないとか。
京都に住んでいた頃は橋の目前にある晴明神社に結構お参りに行ってたけど霊感皆無な私には関係ナッシング。
お嫁に行く時には出戻りにならないように渡らないとか、戦前は出征兵士が生きて戻れるよう渡って行ったとか、そういう話もあった。


藤原道長には四天王がおりまして、頼光はそのひとりになります。(史実)
更にその頼光にも四天王がおりまして、それが渡辺綱、卜部季武、碓井貞光、坂田公時になります。(おはなし)

坂田公時は足柄山の金太郎のこと。
実在かどうかは分からないそうですが、どうもそれらしき人、つまりモデルになった人はいるらしい。

大江山の鬼退治は、
京の人々が鬼に攫われては使役され、用済みになれば食べられてしまう → 姫君も攫われる
→ 頼光、四天王と友人平井保昌(和泉式部の旦那、道長四天王)を引き連れて鬼退治
という話(大雑把)。

頼光一行は鬼と仲良くするふりをして騙し討ちにするのだけれど、その時に使ったのが「神便鬼毒酒(神の方便鬼の毒酒)」というお酒。
酔わせて鬼の持つ神通力を失わせ、その間に首を落とした。
こう書くとすんごい卑怯…^^;
ちなみにこの大江山の鬼のボスは酒呑童子(しゅてんどうじ)と言いまして、「酒呑み」という名前からも分かる通りお酒が好きだったという話。

落とした首を持って帰ってきたとされるのがこちら。


https://blog-imgs-72-origin.fc2.com/m/u/r/murakumo1868/2008_01060472.jpg


兵庫県川西市の多田神社。多田は清和源氏発祥の地です。
源氏の元々の本拠地は川西で、そこから摂津源氏(川西)、大和源氏(奈良)、河内源氏(羽曳野)と枝分かれする。
八幡太郎こと源義家が出たのは河内源氏で、彼の子孫が源頼朝であり義経になります。
河内源氏は源氏としては傍流なのだけれど、僅かな時代を経ただけで嫡流のようになっている。
げに恐ろしきは時の流れである。


https://blog-imgs-72-origin.fc2.com/m/u/r/murakumo1868/2008_01060493.jpg


そして酒呑童子の首を洗い流したとされるのが境内にある鬼首洗池。



頼光四天王のひとり、渡辺綱にも鬼退治の話があります。
一条戻り橋で出会った鬼の片腕を切り落としたとか、羅城門で出会った鬼の片腕を切り落としたとか、そういう話。

渡辺綱は実在です。
本姓は源で、分かる人にはすぐ分かる嵯峨源氏であります。源綱。
嵯峨源氏は名乗りが一字です。
綱の他には競(きそう)、省(はぶく)、渡(わたる)、授(さずく)といった名の人々が一族郎党にいます。時代不順。

先祖には源融がおります。
この方、嵯峨天皇の皇子ですが臣籍降下で源姓になっている。(だから嵯峨源氏)
血筋に文句の付け所なし、左大臣というお国のトップクラスの高官、おまけにイケメンという天は二物を与えずどころか三物位を源融に与えとる訳です(笑)
そういうこともあって『源氏物語』光源氏のモデルでもありまする。
光源氏の屋敷六条院も源融の屋敷河原院がモデルみたいだし。

綱の本拠は大阪の渡辺になります。
それで渡辺の綱。
大阪のどのあたりかというと、


渡辺党_大阪


右に見える天満のあたり一帯。

見えている川は大川で大阪湾に注いでいます。海まで大した距離はない。
渡辺津は古代から中世に亘る西日本有数の港湾だったのですが、ここに本拠地を置いたのが渡辺党になります。
西日本ではかなり有力な水軍でして、九州の松浦水軍の祖でもある。

保元平治の乱でも出てくる集団ですが、一番有名であるのは所謂源平合戦の屋島の戦いかと。
源義家が本州から香川の屋島に軍を進めますが、その際にスカウトした水軍は3つ。

・難波の渡辺党
・田辺の熊野水軍
・伊予の河野水軍

ついでに書けば源義経らは渡辺津から出陣しています。

以上、地元関西でも余り知られていない話でした。笑
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