Para Bellum

明治・大正・昭和初期の軍人・政治家の話が多め
特に海軍と広瀬武夫、偶に江戸時代中後期/幕末

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パラべラム ~ 堀悌吉(6)

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この話は19回シリーズです。
サイトに纏めて移行済み。そちらの方が読みやすい。
サイト > WORKS > 歴史話 > 近代MTS > 明治~昭和 よりどうぞ。

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「加藤全権伝言」。
阿川弘之『山本五十六』の冒頭でも引用されているので、ご存知の方も多いと思います。


http://blog-imgs-63.fc2.com/m/u/r/murakumo1868/2014_08290246.jpg


上の写真は『太平洋戦争への道 資料編』(稲田正夫他編/朝日新聞社/1963)ですが、中略がある。
近年発行された『堀悌吉資料集』には全文が掲載されている模様。

井出謙治海軍次官宛加藤友三郎の伝言です。
加藤寛治立会いの下、随員のひとりであった堀悌吉が加藤(友)の口述を筆記し帰国した。
曰く、


国防ハ軍人ノ専有物ニ非ス戦争モ亦軍人ノミニテ為シ得ヘキモノニ非ス …<略>
平タク云ヘハ金ガ無ケレハ戦争ガ出来ヌト云フコトナリ <略>


http://blog-imgs-63.fc2.com/m/u/r/murakumo1868/2014829.jpg


日本と戦争の起こる可能性があるのはアメリカのみ。
だが、たとえアメリカと軍備が拮抗していても、日露戦争の時のような少額で戦争は出来ない。

然ラハ其ノ金ハ何処ヨリ之ヲ得ヘシヤト云フニ
米国以外ニ日本ノ外債ニ応シ得ル国ハ見当ラス

而シテ其ノ米国ガ敵デアルトスレバ此ノ途ハ塞カルルカ故ニ
日本ハ自力ニテ軍資ヲ造リ出サザルベカラズ
此ノ覚悟ノ無キ限リ戦争ハ出来ズ 

英仏がいるとはいえ当てには成らず、
結論トシテ日米戦争ハ不可能トイフコトニナル <略>
日本ハ米国トノ戦争ヲ避ケルヲ必要トス <略>


斯ク考フレバ国防ハ国力ニ相応スル武力ヲ整フルト同時ニ国力ヲ涵養シ
一方外交手段ニ依リ戦争ヲ避クルコトガ目下ノ時勢ニ於テ国防ノ本義ナリト信ズ

即チ国防ハ軍人ノ専有物ニ在ラストノ結論ニ到着ス



大局的見地から見た国防の話をしています。
今読んだら至極当たり前の事なんですけどね…

軍事的な理由から兵術論を振りかざして6割受諾反対、会議から脱退してもいい、じゃどうしようもない。
加藤友三郎がこの口述筆記の場に加藤寛治を立ち合わせたというのは、何をどう考えて会議に出ているかを寛治に知らしめたかったからじゃないかと思います。
あともうちょっと考えろと。
後々の事を思うと、その思いは全然伝わってなかっただろうけど。


上引用からもあるように、加藤友三郎が一番重要だと考えていたのは「米国トノ戦争ヲ避ケル」こと。
アメリカとの戦争に陥らないよう、良好な関係を維持する事でした。
そんな感じなので、色々掛け引き、交渉はしても結局は大筋でアメリカの提案を呑むしかない訳で。

この加藤の国防に対する考えを引き継いだ後輩が山梨勝之進、そして堀悌吉といった人々。
逆にこれを日本の屈辱外交だとし、アメリカとの戦争が始まったと捉えたのが、加藤寛治、末次信正といった人々。

前者は条約派、後者は艦隊派と呼ばれます。


短いけど今日はここまで。
眠いー
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