Para Bellum

明治・大正・昭和初期の軍人・政治家の話が多め
特に海軍と広瀬武夫、偶に江戸時代中後期/幕末

落城の譜

1062年、康平5年9月17日は厨川柵(@岩手県盛岡市)が落城した日。
前九年合戦が終結した日で、安倍貞任と藤原経清の御命日。


厨川柵跡@盛岡 


上写真は厨川柵擬定地。
岩手の安倍氏関連で柵(城柵)があったと断定できるのは貞任の弟宗任が守っていた鳥海柵。
あと白鳥柵もか。
まあ、ここだろうという感じで前紹介した金沢柵と似たような感じ。
上に中世にお城が作られてしまったりしているので、遺構探すのも中々大変そう。


厨川柵跡@盛岡


こちらは厨川柵があっただろう場所から北上川を見下ろした写真。
分かり辛いな…下の方に川が流れているのよー…
厨川柵は北上川と雫石川に囲まれた柵だったと言われています。
金沢柵も北側に流れていたのが厨川という、これなんという符合。


安倍貞任には千世童丸という男児がおりましてね。
藤原経清にも当時6・7歳の頃の男児がおります。

貞任は戦死。
経清も捕えられた上斬首、千世童も捕えられた上で斬られている。
経清の息子は助命され、激動の前半生を歩んだ後平泉を築いています。
これが藤原清衡。

貞任には高星丸(たかあきまる)という男児がいたとも言われています。
厨川柵が陥落した際はまだ幼児で、侍女に連れられて奥津軽に逃げ延びた。


十三湖


辿り着いた先が十三湊(とさみなと)。マークが付いている所です。
現在は十三湖(じゅうさんこ)と呼ばれている。
『十三の砂山(とさのすなやま)』という民謡がありますが、この十三は十三湖のこと。

鎌倉から室町時代にかけてここを根城にした大豪族、大きな水軍がおりまして、それを安東氏、安東水軍といいます。
多分マイナー。おおう…


064f6e6b1f97f972c29566670d4bf0ba.jpg 


高星丸はこの安東氏の祖と言われている。

十三湊はこの時代屈指の貿易港で、北海道の他(この時代の北海道はほぼ外国に近いだろう)中国、アラスカ辺りとも交易があった。
室町時代には三津七湊に数えられる、博多と並ぶ湊だったのですね。

内陸からの利益は殆ど無かったようですが、日本海に築いた交易網から巨万とも言える富を得ていました。
その為安東氏は「海の豪族」とも言われていて、「奥州十三湊日之本将軍」と称していた時期もあった。
輝かしい東北史の1ページ!


十三湖


右側の青い所が日本海。左側が十三湖。
十三本の河川が流れ込む所から着いた名前だそうで、淡水と海水が入り混じる汽水湖です。
河川が流れ込むということは、時代が下るにつれ砂が溜まって湖底が浅くなるんですね。
大きな船の出入りが出来なくなる。

幕末、大坂でも同じ問題が起こっていまして、天保年間に安治川の浚渫工事が行われています。
ただ十三湊は近世以前なのでねえ…
そんな技術はなかったか、未熟だったのだろう。
ちなみに大坂で浚渫した砂を盛り上げて作られたのが現在の天保山です。

生命線が海外との交易であるのに、その基盤になる湊がダメになる。
更に大津波にも襲われています。壊滅的。
その上隣接する南部氏との争いにも破れており、安東氏の繁栄は長くは続きませんでした。
夢の如き栄耀栄華よ。


その十三湖に安倍に所縁があるという理由だけで行ったのだけれど尋常じゃなく遠かった(十何年か前…
この時の旅行は青春18切符を使って、京都から青森までひたすら電車の旅でした。
青森での目的は三内丸山遺跡、八甲田山、十三湖。

十三湖で旅行終了、帰るつもりが台風に遭いましてね…
電車が軒並み止まり、土砂崩れかなんかで線路の復旧数週間とか何とか。笑
何という嵐を呼ぶ女。(通常運転)
仕方ないのでそのまま北海道に行ったよ…五稜郭に行ったよ…


十三湖へは五所川原からはバスだったと思うわ~


十三湖


十三湖の周辺に安東氏所縁の史跡が点在しています。
上は唐川城。城跡から十三湖を見下ろしている。


十三湖


こちらは安東氏が勧請したという山王日枝神社。
すごく神秘的な所でした。ここには本当に神様がいるんだと思う。


十三湖 青森の地酒、安東水軍。辛口。


津軽に逃げ延びた高星丸が安東水軍の祖。
そして前九年合戦で破れた安倍貞任の弟たちはほぼ助命され、流罪。
流罪ですよ…
12年にも及ぶ大戦争であったのに、敵方の大将一族が。
貞任の次弟、宗任は最終的には筑前大島(福岡県宗像市)に配流され、本人、もしくはその子が松浦水軍の祖になったと言われています。

伝承であったりはするのですが、安東氏が安倍氏を祖と称していたのは間違いなく、貞任宗任兄弟が南北の大水軍のルーツになっているというのが、何とも面白いなと思うのですね。

ついでに書くと現総理は安倍宗任の末裔。
Copyright © 土原ゆうき(ヒジハラ)